あらすじ&感想文 by RAIN
以下は、雑感をまじえながら自分なりの解釈で「シュナの旅」のあらすじを追いかけてみたものです。
山間の小さな王国の王子シュナの住む谷は貧しかった。
山岳地帯であるため空気は薄く、気候も厳しく、草木も乏しいため家畜すら育たない。
家畜にヤクを飼っているというだけで、貧しさを表現しているといっていいだろう。なぜなら、家畜にするなら同じ牛科の動物でも牛や羊や山羊の方が、よほど乳用・食用・毛皮に富んでいるからだ。しかし、シュナの谷は、草食である牛や山羊が育てられる気候ではなかった。ヤクは山岳でも育つ雑穀種だが、乳や肉は乏しく家畜としての価値は低い。
シュナの谷の人々は、ヒワビエという小粒の食物のわずかな収穫で暮らしていた。
厳しい気候と食物の貧しさにもかかわらず、それでも人々はささやかな収穫に感謝して生き、くち果てるまで働いて死んでいく。
そんなある日、シュナは異国の旅人を助けた。
旅人は疲労と飢えで死にかけけていた。
その旅人は、東方の小さな貧しい国の王子だったが、シュナくらいに若かったある日、ひとりの旅人から黄金の穀物の種をもらい、「その穀物さえあれば、人民はけっして飢えず、豊かに平和に暮せる…」という言葉を頼りに旅を続けて来たのだった。
西の彼方には、黄金の穀物が豊穣の波となってゆれる土地があるという・・・。
「人民の苦しみをのぞきたいと考え、今日まで金色の種を求めて旅をつづけて来たが、もはや年老い…力も尽きた…」と旅人は言い残し、その黄金の種の入った袋をシュナに手渡して死の床についた。
この異国の旅人の熱い想い、気高い志は、シュナに自分自身の生き方を問いつめさせるに十分であった。
旅人は「人民を飢えから救いたい」という、人間にとって最も切実な願いを胸に、黄金の穀物を求めて若き日に旅立った。それ以来、ずっと何十年も西へ西へと旅を続け、志し半ばで年老いて死んでいったのである。その人生とはいったい何だったのだろうか?と思う・・・。
もしかすると、この異国の旅人に種を渡したという旅人も、同じ様に金色の種を求めて旅を続けて来たのかもしれないではないか?
そして、その旅人たちによって引き継がれてきたバトンが、今、ひとりの少年の手に渡されたのである。
異国の旅人と出会って以来、シュナは西の彼方に想いを馳せるようになった。
西の果てといっても、いったいどこまで続いているのか。行くのに何年かかるのか・・・。異国の旅人のように途中で年老いて死ぬまで旅が続くかもしれない。
無事に帰って来れるあてなどないのである。
しかし、シュナは異国の旅人の想いを受け継ぎ、西へ向かって旅することを決意する。