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耳をすませば聞こえてくる音

By 芝田浩子



 7夕の日「耳をすませば」の試写会を小学校6年生の娘と2人で見て来ました。


 うーんと、うんとすてきな映画でした。月並みな言い方でしか表現できないのが悔しいけど、嬉しかったんです。映画が終わるまで、ずっとわくわくした気持ちが止まりませんでした。映画が終わると、娘ともども「もっと見たい!」と感嘆の声をあげていました。


 12歳になったばかりの娘も10分この作品を胸に焼きつけてくれたように思います。これから娘の思春期を目の当たりにしてゆくのだと思うと、母として女性として、ちゃんと見守り、見届けてゆけるだろうかと、楽しみ半分、不安半分でちょっと気負っている私なのですが、この時期に母娘(おやこ)で「耳をすませば」を共有できて良かったと思います。良かったと言うより、とても嬉しく思うのです。


 私が1番親しみを感じるのは、雫の家。自分たちと同じような生活空間から物語が始まっていくところがすてきです。娘が言うことには、「天沢君の自転車に乗せてもらおうと思ったら、私ダイエットしなくちゃ。」ですって。


 雫の進路についての家族会議のシーンはシビアでした。自分たちなら、どんな話をするかしら…。私の主人は中卒で、今、会社勤め26年目。私は高卒だけど塾なんて行ったことなし。「とりあえず高校だけは行きなさい。」というアドバイスはしないと思うけど、娘を信頼して多くを聞き質さずに、見守ってあげられるかな…。見守っていくと言うのは、やさしいということじゃない。むしろ、厳しく辛い。親として、それほど自己に厳しく見守っていけるかしら。月島家では、根っこの部分で信頼し合えているのでしょうね。信頼の形は、それぞれの家庭で違うだろうけど。私も自分の築いた家庭を信じて育てて行きたいな。


 世の中が今のまま続いて行くとは思わないし、楽観なんて決してできないけど、未来を悲観して生きていくのはいやです。この映画を観て、自分の今いる場所、時代をもっと愛したい、そんな思いに駆られました。つらいこと、苦しいことも全部ひっくるめて、生きている自分を愛したい。そして家族を、友人を愛したい。そう強く思うのです。


 さて映画の中には、美しくすてきなシーンが数々あります。大きなからくり時計の物語、「カントリーロード」のコンサート、ラストの朝焼けのシーン…。ああっ、見に行きたい!私には1歳5ケ月のベビーがいるので、いつでも映画館へ行くというわけにはいきませんが、夏の終わり頃にでもチビ助を実家の母に預けて「耳をすませば」を観に行こうと思っています。


 『好きなひとが、できました』とってもすてきな台詞ですね。私の言葉で言い換えれば『好きなひとが、たくさんいます』かな。誰かに「好きだ!」って言われるのもすてきだけど、自分が「好き!」と思う気持ちは、もっとすてき。
 耳をすませて、自分の可能性の音を聞きとって花開かせたいですネ。誰もが持っている明日のひらく花、そんなつぼみが今育っている音を聞いてみましょう。ほら、耳をすませば……。

1995.7

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